タゴールの詩は、インドとバングラデシュの国歌

(日経「春秋」2012/11/14付) 1913年にアジア人として初めてノーベル賞を受賞したタゴールの詩は、インドとバングラデシュの国歌となっている。ともにベンガル語で書かれている。ヒンディー語を話す人が最も多いインドでベンガル語の歌が国歌になったのは、タゴールの偉大さというべきか、多様性にあふれたインドという国の懐の深さの表れというべきか。一方のバングラデシュでは、ベンガル語を話す人が圧倒的に多い。そもそも国名も「ベンガル人の国」といった意味だ。「東パキスタン」と呼ばれていた地域が71年に分離・独立して、国になった。独立運動の最大のエネルギーとなったのは、ベンガル語を守ろうとした、人びとの思いだ。ベンガル語の国歌を持つために生まれた国ともいえよう。日本が国交を結んだのは翌72年の2月。今年でちょうど40周年を迎えた。きのう、造幣局バングラデシュの貨幣5億枚の製造を受注したと発表した。戦前の日本の軍国主義を厳しく批判したタゴールも、笑顔でみているかもしれない。
(JN) バングラデュは最貧地域でありながら、自らの手で独立を得た。そのために、ジョージハリソンをはじめとしてクラプトン、R・スター、ディランなどが支援コンサートを行い、そのライブLPを高校生の時に購入した覚えがある。あの時、シタールというものを知り、その名手ラビ・シャンカルという名を知った。そこにはタゴールの精神が息づいていたのであろうか。宗教や言語の異なる国家が同一の詩人の詩を国家としていることの意味を考え、バングラデシュの独立40周年を祝いたい。。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO48399970U2A111C1MM8000/