もし戦争に出くわさなかったら日本文化はずいぶん伸びたんじゃないか

(日経「春秋」2012/9/26付) バイオリン(提琴)、この楽器を奏し、天才少女、神童とうたわれた諏訪根自子さんの訃報に接する。92歳。彼女を追ったノンフィクション「美貌なれ昭和」(深田祐介著)には、その生涯が第2次大戦に翻弄されるさまがなまなましい。ナチス・ドイツの宣伝相ゲッベルスに手ずから名器ストラディバリウスを贈られたのは昭和18年。自らの技量では片づかぬ「日独友好」の演出の臭みは、戦後も永く諏訪さんを苦しめたに違いない。翌19年11月、中立国のスイスで開いた幾つかの演奏会は記憶にとどめねばならない。戦火をくぐってドイツからひとり赴き、喝采を浴びた24歳の日本人女性の姿は、戦争に対する文化の一矢でもある。諏訪さんと親交があり、外交官から仏文学者に転じた前田陽一(故人)が言う。「われわれの世代は猛烈に勉強したからね。もし戦争に出くわさなかったら、日本の文化はずいぶん伸びたんじゃないか」。半世紀にわたってほとんど公の場に出なかった神童の後半生を思うとき、「もし戦争に……」が消えることはない。
(JN)戦争とはなんであろうか。それを起こさせるものと、実際に戦地に行くものとは異なる。戦地に行かさせるものには戦争は必要ない、人々を戦争に巻き込む者はそれによって何らかの利益を得る。現実的にも、日本と中・韓との領地問題も、両国で騒いでいる人たちは踊れされている。我々は、現実と将来を見据え、暴力的行為を抑えるべきであろう。そのためにはまず文化と経済の交流を早く正常に戻そう。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO46556210W2A920C1MM8000/