「さんま、さんま/さんま苦いか塩っぱいか」

(日経「春秋」2012/9/18付)サンマは、この秋も身をキラリ光らせ、われらを待つ。宮古気仙沼、大船渡、石巻……。震災で打ちのめされ、復興への道半ばにある港にも水揚げが盛んだという。あの海を今年もサンマたちは群泳して下り、やがて銚子沖へと抜けていく。あれから1年半。復興庁のまとめた直近の統計をみると、被災3県のおもな魚市場への水揚げ量は震災前の69%にまで回復している。ひとくちに69%というけれど、数字にはあらわれない、数知れぬ苦難をくぐり抜けてここまできたに違いない。銀色のサンマを前に頭が下がるのだ。「さんま、さんま/さんま苦いか塩っぱいか」――。口ずさんで、三陸の海と港に思いを致してみようか。
(JN)今年も秋刀魚が食べられることに感謝したい。しかい、我々は1年半前のことを忘れず、福島の原発事故のような惨事を今後起こさないよう未来へ約束をしなければ、安心して秋刀魚を口にできない。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO46240490Y2A910C1MM8000/