敗れて重荷を背負う必要はない

  • (JN)世界中から集まる実力者たちも、日ごろの実力以上のものが出る時もあれば、思うほどの力を出せないときもある。国を代表しているこの人たちを常に称えなければならない。がんばれ選手たち。私たちの感情を動かしてください。
  • (日経/春秋 2012/7/31付) 五輪で勝つより難しいといわれる柔道の全日本選手権で、山下泰裕さんに次ぐ7度の優勝を誇る小川直也さんはかつて「オリンピックには縁がなかった」と語っている。世界中から様々なスポーツの強者(つわもの)たちが集まる。そこへ国民の熱い声援を受け、日の丸を背負って立つ。蓄えてきた力をこの場で出し切ること自体が、何より困難で、孤独な闘いになるのだろう。100メートル平泳ぎで前人未到の3連覇に挑んだ北島康介選手は惜しくも5位。4年に一度の大舞台にきっちり合わせ、いつも期待にこたえてきた希代のスイマーは、さばさばとした様子で敗戦の弁を語った。アーチェリーの3人娘はニコニコ笑顔を絶やさず、初のメダルをもぎ取った。魔力がどう働くかは分からず、選手はただ死力を尽くす。スポーツの元来の意味は「余暇」や「気晴らし」。敗れて重荷を背負う必要はない。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO44352440R30C12A7MM8000/