麻薬組織の撲滅をめざし

  • (日経/春秋 2012/7/12付) 「美しすぎる警察署長」。マリソル・バジェス・ガルシアさん。当時、20歳。犯罪学を学ぶ現役の女子大生で、1児の母でもあった。メキシコ北部の町で警察署長に就いたことは、世界的なニュースになった。メキシコの北部、米国との国境地帯では、麻薬取引にからんだ血なまぐさい事件が次々と起きていたからだ。バジェスさんの前任の署長を含め、警官の犠牲も多かった。バジェスさんの起用も、他になり手がいなかったため。いわば窮余の一策として、登板した。カルデロン大統領は麻薬組織の撲滅をめざし軍を動員、この「麻薬戦争」が治安の悪化を招いた。抵抗と報復、そして麻薬組織同士の抗争激化。5年余りで5万人以上が犠牲になったという。バジェスさんは結局、5カ月で署長を辞め米国に亡命を申請した。次期大統領も麻薬組織には厳しく臨む構えだが、軍を前面に出して制圧しようとしてきた現大統領とは違うやり方を考えるという。米国に移った後も「恐怖を感じる」と語るバジェスさんと家族が、安心して帰国できる日は来るだろうか。

=>(JN)高額な麻薬、その魅力に、人々は苦しめられている。米国の需要がなければ、メキシコはこのようなことにならないのであろうか。メキシコの体質に問題があるのであろうか。何れにしても、暴力の力だけでは解決しない問題であろう。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO43666030S2A710C1MM8000/