震災とトイレ 240412

 トイレの問題は大災害のたび浮上してきたと『天風録(240411中國新聞)』は語る▲150年余り前、全国各地に郵便ポストができると、公衆トイレと勘違いした人がかなりいたらしい。「郵便箱」を「垂便箱」と▲ポストぐらい公衆トイレがたくさんあればいいのに。能登半島地震の被災地、発生から100日を過ぎても断水が続き、トイレを使えない地域がある▲我慢したり水や食事を減らしたりすると、体調を崩しかねない。業者やボランティアのためにも清潔なトイレが欠かせない▲心強い動きもある。「臭わない仮設トイレ」。用を足すと約400度の蒸気を出して殺菌する。その手もあったかと感心する▲〈備えよう食う寝る出す場所三日分〉〈天災とうんこは急にやって来る〉(横浜市川柳コンテスト)。
 (私は)思う。国はもっと被災地支援に力を入れられないのか。我が国は地震多発の地域であるのに、なぜ被災後の対応が進歩しないのか。なにより、国にそのための省がないのか。政治家は自分たちの票のための裏金作りより、困っている国民に寄り添うことを選べなかったのか。モノづくり、大阪より被災地へ持って行けないのか。考えてほしい。



食べることは生きること 240411

 エンゲル係数の上昇に『日報抄(240411新潟日報)』は思う▼「食べることは生きること」、正岡子規の晩年は、この言葉を体現していた▼食べることで、病魔と闘う体力と気力を養っていた。朝昼晩に粥やごはんを椀に3杯以上、各種のおかずを平らげた。食事の記録からは鬼気迫るものが漂う▼子規は家計についての記述も残している。1897年の手紙を基に正岡家のエンゲル係数を計算すると61.84%だった▼総務省によると昨年のエンゲル係数は27.8%だった▼近年は上昇傾向にある。昨年は1.2ポイントも急上昇し、40年ぶりの高水準だった。単身世帯の増加なども背景にあるようだが、食品の値上がりが大きな要因なのは間違いない。食べることは生きること。とはいえ、生きていくのも楽ではない。
 (私の)エンゲル係数も上り調子だ。スーパーマーケットでの夕食の買い物、数年前の倍くらいかかるように感じる。時に行く職場の食堂、300円台であった定食が400円台になっている。行政を司る方々は、自腹を肥やす能力を持ちながら国民の腹を満たす能力はないのか。なぜ、国民はこのような方々を選んだのか。この先も楽にはならないのか。



戸惑う4月 240410

 きのうの朝は荒れた天候に多少戸惑ったと『小社会(240410高知新聞)』。突風、逆風。川辺の桜もかなり花を散らした。ドイツには〈4月よ、4月はいったい自分でどうしたらよいのか分からないでいるのだ〉という童謡、季節が自分でも戸惑っているということか。東京商工会議所の昨年の調査、新入社員の97%が社会人生活に何らかの不安を。「仕事と私生活のバランス」「上司・先輩・同僚とうまくやれるか」「仕事が自分に合っているか」。就職先の会社でいつまで働きたいか、「定年まで」は24%余り。魅力ある職場環境づくりはますます欠かせぬ努力になる。きのう、職場にハラスメント防止の小冊子が配られた。平成初期に入社したおじさんも気をつけなければ。4月の戸惑いを増やさぬように。
 (私の)昨日の朝の通勤時、大荒れで、傘は見事にお猪口になった。列車は、遅れ気味、不安な一日のはじまり。お昼前には風も雨も止むが地面は桜の花びら。気温は下がりはじめ春の嵐の後は冬に戻った。その寒さに昭和のおじさんは戸惑う。新人さんたちは様々な嵐をこれから何度経験するか。強風でもお猪口になって壊れない傘のようにね。



読書メモ 240409

『猫に学ぶ いかに良く生きるか』John Gray、鈴木昌(訳)、2021年11月、みすず書房

・猫は私を暇つぶしの相手にしているのか?

・「個々の動物、個々の生物には、それぞれの独自の生き方があるのだ。」

・「人間は自分で自分を創造するものだ。・・・・・人間の本性について語ることは、その自由を制限してしまい、その結果、人間は恣意的な規範の力に支配されることになる。・・・・・・ポストモダニズム・・・・・ジャン・ボードリヤールとかリチャード・ローティ・・・・・。」

・「個々人の本性という虚構のなかにある真実とは、我々の誰もが良き人生を選ぶのではなく発見するのだということである。自分の決断によってある行動をしたというときですら、われわれはその経験を自分で決定することはできない。良き人生とは自分の望む人生のことではなく、自分が満たされるような人生のことである。・・・・・スピノザのいうコナトゥス・・・・・。」

 

読書メモ 240408

アインシュタインの時計ポアンカレの地図』、松浦俊輔、2015年10月、名古屋大学出版会。

・時間とは? 地図とは?

・人間の能力では互いが基準の相対性である。

ポアンカレアインシュタインニュートンの絶対的な同時性を攻撃した。

 

睡眠を十分取る社会の実現 240407

 春眠の時節に『余録(20240407)』は睡眠を思う▲大谷翔平選手と藤井聡太8冠には、睡眠を重視する共通点がある▲型破りな2人にとって、睡眠は力の源泉。だが、日本人の睡眠時間は対照的に際立って短い。1日の平均睡眠時間7時間22分は経済協力開発機構調査33カ国中で最短、全体平均に比べて1時間以上少ない▲子どもの状況は一層深刻だ。小学6年は7・90時間、中学3年が7・09時間、高校3年で6・45時間▲受験勉強や仕事に追われ、スマートフォン利用などで睡眠を削る日常が浮かぶ。片や日本の労働生産性OECD中、30位に落ち込む▲「睡眠を十分取る社会」を実現することが健康のみならず、日本の社会が抱える弱点を克服していくカギになるのではないか。春眠の時節、眠りの価値を考えたい。
 (私は)7時間ぐらい寝ているだろうか。23時前に寝ようと思っているが、なぜか24時近くになってしまう。目標8時間睡眠であるが、夜になると作業を始めたり、本を読みはじめて、睡眠を逃している。けじめがない。世の中の誘惑に敗けず、睡眠を選択できる大人になりたい。日本の人々よ、大谷選手や藤井8冠を目指して、睡眠をとろう。



新聞をヨム日 240406

 けさの新聞は皆さんにどんなふうに読んでいただけるのだろうと『水や空(240406長崎新聞)』▲書かれている内容を完全に理解するのは〈読みこなす〉、細かい点に注意せず、ざっと読むのは〈読み流す〉。途中でやめるのは〈読みさす〉で、読んでいるという心の張り合いは〈読み応え〉▲昨日の紙面に特集記事。「出どころの確かな情報」「知らない言葉や違う世界を知る教科書」とタレントの横沢夏子さん。ミュージシャンの水野良樹さんは「読者のために丹念な取材を」と▲「ニュースをいち早く報道する使命をいったん留保し、徹底的に掘り下げる記事を」は霊長類学者、山極寿一さん▲紙のニュース媒体の先行きは…と考えずにはいられないネット全盛の昨今▲生き残りへの決意に背すじを伸ばす。
 (私は)思う。新聞を読むという作業は、読ませる方も読むほうも、読む力が必要だ。読ませる方、読んでもらわねばならないので、引きつけそして途中で逃げ出さないようにしなければならない。読むほうは、新聞記事すべてとお付き合いはできないので、いかにしてどの記事とお付き合いをするか、またその関係を読み込んでいくか。
*画像は2024年4月5日の朝日新聞より。