戸惑う4月 240410

 きのうの朝は荒れた天候に多少戸惑ったと『小社会(240410高知新聞)』。突風、逆風。川辺の桜もかなり花を散らした。ドイツには〈4月よ、4月はいったい自分でどうしたらよいのか分からないでいるのだ〉という童謡、季節が自分でも戸惑っているということか。東京商工会議所の昨年の調査、新入社員の97%が社会人生活に何らかの不安を。「仕事と私生活のバランス」「上司・先輩・同僚とうまくやれるか」「仕事が自分に合っているか」。就職先の会社でいつまで働きたいか、「定年まで」は24%余り。魅力ある職場環境づくりはますます欠かせぬ努力になる。きのう、職場にハラスメント防止の小冊子が配られた。平成初期に入社したおじさんも気をつけなければ。4月の戸惑いを増やさぬように。
 (私の)昨日の朝の通勤時、大荒れで、傘は見事にお猪口になった。列車は、遅れ気味、不安な一日のはじまり。お昼前には風も雨も止むが地面は桜の花びら。気温は下がりはじめ春の嵐の後は冬に戻った。その寒さに昭和のおじさんは戸惑う。新人さんたちは様々な嵐をこれから何度経験するか。強風でもお猪口になって壊れない傘のようにね。



読書メモ 240409

『猫に学ぶ いかに良く生きるか』John Gray、鈴木昌(訳)、2021年11月、みすず書房

・猫は私を暇つぶしの相手にしているのか?

・「個々の動物、個々の生物には、それぞれの独自の生き方があるのだ。」

・「人間は自分で自分を創造するものだ。・・・・・人間の本性について語ることは、その自由を制限してしまい、その結果、人間は恣意的な規範の力に支配されることになる。・・・・・・ポストモダニズム・・・・・ジャン・ボードリヤールとかリチャード・ローティ・・・・・。」

・「個々人の本性という虚構のなかにある真実とは、我々の誰もが良き人生を選ぶのではなく発見するのだということである。自分の決断によってある行動をしたというときですら、われわれはその経験を自分で決定することはできない。良き人生とは自分の望む人生のことではなく、自分が満たされるような人生のことである。・・・・・スピノザのいうコナトゥス・・・・・。」

 

読書メモ 240408

アインシュタインの時計ポアンカレの地図』、松浦俊輔、2015年10月、名古屋大学出版会。

・時間とは? 地図とは?

・人間の能力では互いが基準の相対性である。

ポアンカレアインシュタインニュートンの絶対的な同時性を攻撃した。

 

睡眠を十分取る社会の実現 240407

 春眠の時節に『余録(20240407)』は睡眠を思う▲大谷翔平選手と藤井聡太8冠には、睡眠を重視する共通点がある▲型破りな2人にとって、睡眠は力の源泉。だが、日本人の睡眠時間は対照的に際立って短い。1日の平均睡眠時間7時間22分は経済協力開発機構調査33カ国中で最短、全体平均に比べて1時間以上少ない▲子どもの状況は一層深刻だ。小学6年は7・90時間、中学3年が7・09時間、高校3年で6・45時間▲受験勉強や仕事に追われ、スマートフォン利用などで睡眠を削る日常が浮かぶ。片や日本の労働生産性OECD中、30位に落ち込む▲「睡眠を十分取る社会」を実現することが健康のみならず、日本の社会が抱える弱点を克服していくカギになるのではないか。春眠の時節、眠りの価値を考えたい。
 (私は)7時間ぐらい寝ているだろうか。23時前に寝ようと思っているが、なぜか24時近くになってしまう。目標8時間睡眠であるが、夜になると作業を始めたり、本を読みはじめて、睡眠を逃している。けじめがない。世の中の誘惑に敗けず、睡眠を選択できる大人になりたい。日本の人々よ、大谷選手や藤井8冠を目指して、睡眠をとろう。



新聞をヨム日 240406

 けさの新聞は皆さんにどんなふうに読んでいただけるのだろうと『水や空(240406長崎新聞)』▲書かれている内容を完全に理解するのは〈読みこなす〉、細かい点に注意せず、ざっと読むのは〈読み流す〉。途中でやめるのは〈読みさす〉で、読んでいるという心の張り合いは〈読み応え〉▲昨日の紙面に特集記事。「出どころの確かな情報」「知らない言葉や違う世界を知る教科書」とタレントの横沢夏子さん。ミュージシャンの水野良樹さんは「読者のために丹念な取材を」と▲「ニュースをいち早く報道する使命をいったん留保し、徹底的に掘り下げる記事を」は霊長類学者、山極寿一さん▲紙のニュース媒体の先行きは…と考えずにはいられないネット全盛の昨今▲生き残りへの決意に背すじを伸ばす。
 (私は)思う。新聞を読むという作業は、読ませる方も読むほうも、読む力が必要だ。読ませる方、読んでもらわねばならないので、引きつけそして途中で逃げ出さないようにしなければならない。読むほうは、新聞記事すべてとお付き合いはできないので、いかにしてどの記事とお付き合いをするか、またその関係を読み込んでいくか。
*画像は2024年4月5日の朝日新聞より。



消えた屋台の灯 240405

 高知市のおまちの屋台の灯が消えたことに『小社会(240404高知新聞社)』は思う。飲み会の最後をラーメンで締めたくなるのはなぜだろう。「締めのラーメン論」がいろいろある。作家の村松友視さんの話が面白い。はしごの歯止めが利かない繁華街からいつ帰るか。仲間内で「帰ろう」は言いにくい。そこで「ラーメンでも食おう」が「帰る儀式」になるのだとか。高知市のおまちの屋台は、そんな存在でもあっただろう。ここで解散という例が多かったのでは。その屋台の灯が、行政の要請を受けて3月末で消えた。そもそも違法状態を黙認されて続いてきた歴史がある。今の時代、福岡・博多のように公的に環境を整えない限り生き抜くのは難しいということか。
 (私は)どうだろうか。やはりラーメン。でも、屋台ではない。私の飲み歩いたところは、もう屋台は消えていた。そんな中、40年ほど前、高知出張の時に屋台でラーメンを食べた記憶がある。そうか、高知も屋台が消えたか。さて、高知の酒のみたちの締めはどうなるのか。繁華街は更にきらめくのか。



世紀の「公共事業」を見詰め直す 240404

 大阪・関西万博に『あぶくま抄(240404福島民報)』は思う▼道路整備や災害対策といった公共事業、大切な役割を担っていると教えたのは経済学者ケインズ▼第1次世界大戦の戦後処理、敗戦国ドイツに対する巨額の賠償金請求に異を唱える。無理強いすれば地域全体の没落を招くと。過度な負担にあえいだゲルマンの大国は社会不安にさいなまれ、ナチスが台頭▼1年後に迫った大阪・関西万博。目玉の木造大屋根にも巨費が投じられるが、設計者には思いがある。原発事故の影響を受けた県産材を使う。「林業が低迷しているので、お手伝いできれば」▼予算という単眼を広角レンズに切り替え、世紀の「公共事業」を見詰め直す。育てたい木の芽が必ずある。
 (私が)ケインズの経済を習ったのは1970年代。マクロ経済学と日本経済は花盛りであった。それからこの半世紀、まだこの理論に従って、箱を作り壊し作り壊しと、未来への借金を作り、経済格差を作って行くべきなのか。どうなのであろうか。公共事業の在り方は変わることはできないのか。被災地の復興への影響はどうなのか。広角レンズが必要だ。