もろくて壊れやすいこの世界の行方を 240604

 きょうの「虫の日」に『有明抄(240604佐賀新聞)』は「汚い」「臭い」を思う◆大相撲の力士のしこ名、なぜだか「川」はない◆昭和40年代初めまで、「川」の関取が活躍したそうだが、河川がいつしか「汚いもの」になり、身近でなくなったからか◆公園を歩けば、ハナミズキやセコイアなど外来種ばかりで虫も寄せつけない。〈「汚い」「臭い」をもっと体験すべきだ〉と寄生虫学者の藤田紘一郎さん。清潔志向が、生きるために必要な菌まで排除し、人間の免疫力を弱めていると◆〈人は山と蟻の中間だ〉と米先住民の格言にある。人間は自然の前ではちっぽけな存在でしかない。きょうは語呂合わせの「虫の日」。もろくて壊れやすいこの世界の行方を、彼らと語り合うのもいい。
 (私たちは)汚い・臭いもの、消毒したりふたをした。虫はどこへ行ってしまったのか。ハエやカは? チョウチョやトンボの群は? キャベツ畑に青虫は? ゴキブリは? 夏のセミの大合唱は規模縮小! カブトムシはお店に? 虫たちを失い、私たちは何を失っていくのか。語れる相手がいなくなる。