『#弱者の犠牲』

『#弱者の犠牲』<2022年5月1日(日)>
 きょう「水俣病の公式発見」の日に『余録(220501)』は思う。窒素を利用してアンモニアを大量生産する手法は1913年、ドイツで確立された。皇帝ウィルヘルム2世は「これで戦争ができる」と▲アンモニアからは爆薬や窒素肥料が作れる。ドイツは第一次世界大戦に参戦▲そのころ日本では、チッソの前身「日本窒素肥料」、技術導入に投資し巨大コンツェルンに▲工場があった熊本県水俣で「猫が逆立ちして踊りながら死ぬ」とうわさが広がったのは50年代前半。やがて被害は人体にも▲チッソの付属病院長、細川一医師は排水を猫に投与して水俣病を発症することを確かめたが公表は封じられ、対策は遅れた▲「文明人は合理的ですが、倫理において非常に欠落している」(石牟礼道子さん)。戦争は陰に陽に科学技術を進歩させてきたが、同時に大きな犠牲を生み出し、弱い人々に重くのしかかる。今も世界のどこかで同じことが起きている。
 (私の)周りの自然はどこへ行ってしまったのか。これからの季節は、チョウチョ、ハエ、カなど虫の季節。ヘビ、カエル、スズメ。みんなどこへ。文明は弱者の犠牲にして消し去ってきた。その犠牲は、やがて自分たちに広がっていく。弱者は弱者であることを忘れてはならない。
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