すっぱりとやめるしかないのだろう 231022

 JR東海、西日本、九州の3社が新幹線の一部車両にある喫煙ルームを来年春をもって廃止すると発表したことに『筆洗(231022)』は思う▼これにて東海道・山陽・九州新幹線のすべての車内でたばこが吸えなくなる▼64年の東海道新幹線開業時は全席で喫煙可。禁煙車の登場は70年代で以降、健康被害の問題などで喫煙席は次第に減らされ、ついにはゼロとなる▼スモーカーも、この日が来ることは覚悟していただろう。喫煙率はすでに2割を切っている。時代の流れとあきらめていただくしかあるまい、とは少々冷たいか▼<忘れ来し煙草を思ふ/ゆけどゆけど/山なほ遠き雪の野の汽車>は石川啄木。吸えない汽車の旅のつらさに泣かぬためには今から、すっぱりとやめるしかないのだろう。
 (私は)すっぱりではなかったが、平成当初にやめた▼昭和のスモーカーは、自由であった。世の中に灰皿というものがあり、また灰皿がなくとも、プカプカとやっていた。仕事中もプカプカ、机上にはもちろん灰皿があった▼それが、徐々に嫌煙権が強くなり、外へ追い出されて行った。列車やバスからも灰皿が消えた。臭くて煙いものは追い出されて行く。