『一年中いつでも、正月気分を味わえる旅館』

『一年中いつでも、正月気分を味わえる旅館』<2020年1月2日(木)>
 「『旅館・正月』みたいなのがあれば、いいんだけど」…『筆洗(200101)』は村上春樹さんと一茶の思い、そして森繁久彌さんの正月を伝える。「一年中いつでも、正月気分を味わえる旅館・・・一茶の<正月の子供になりて見たき哉>をふと思い出す。・・・森繁久弥さんが終戦直後の正月の様子を書いていた。大みそかの夜。芋のとけた粗末なかゆに決心し、質屋に走る。長年愛用の時計を曲げて家族六人分の卵を買う。元日朝、目覚めるとおモチがある。卵焼きがある。裏の川でとったザリガニのフライがある。うれしさと妻のやりくりに胸がいっぱいになったそうだ。・・・『旅館・正月』にぜいたくはいらない。ただ、必ず備わっていなければならぬのは、いうまでもなく平和、平穏なる時間だろう。二〇二〇年。幸い、まだ、その旅館は無事である」。
 (JN) 正月は、私たちに一時の異空間を与えてくれるのか。朝ゆっくり起きて、良い天気を確認し、お節料理をいただく。餅のお替り禁止に無念を思い、新聞を取りに行く。もう、年賀状が来ている。この分厚い新聞の束に新聞配達の方に感謝を思い、カルロス・ゴーンの逃亡に現実の世界の不思議さを思う。年賀状を見るのは後にして、お宮参りに向かう。「今日は列が短いね」。家族とたわいもない話をしている内に境内へ入り、階段を上り、茅の輪を潜る。毎年の繰り返しに、安心する時間がある。この時空を維持するためには、皆がそれぞれの正月を味わえる「旅館・正月」を維持するにはどうすればよいか。
#旅館・正月