『この世界の人々を隔てるあらゆる垣根を取り払い・・・』

『この世界の人々を隔てるあらゆる垣根を取り払い、その心を今そこにともにいる喜びで満たす満開の桜の下である』<2018年3月24日(土)>
 「桜のつぼみが顔を出し、膨らみ、徐々に花開く、これは一般大衆の主要な関心事である。だから地元紙は、開花予想など桜の名所からの速報を毎日つたえる」。『余録』(180324)は、明治時代に来日した米国の女性旅行家シッドモアの記事を紹介する。「花が咲くという当たり前の自然現象が報道の対象になるなど他ではありえないからである」からとのことだが、「年々うなぎ登りの訪日外国人数だが、なかでも3、4月の訪日客の比率の伸びが目立つという。江戸の昔から老若男女や身分の違いを超え、春らんまんを等しく分かち合った花見だった。この世界の人々を隔てるあらゆる垣根を取り払い、その心を今そこにともにいる喜びで満たす満開の桜の下である」。
 (JN) 山沿いの多摩地区でも、桜が開き始めた。いよいよ春だ。あの満開の桜の下には何があるのか。一時の何かであろう。それは皆それぞれ違うであろう。その違う何かを求めて、桜の下にやってくる。あの目が痛くなるほどの明るさと美しさ。心を通り抜けて行く。これは、日本に居れば、皆が味わえるのである。沖縄から始まるお花見は数カ月に亘って日本列島を北上して行く。この皆で味わう幸せはとにかく一時である。桜の花が散ると効力がなくなってしまう。これは、バーチャルではだめなのか。否、この時期の一時だからよいのか。まあ、とにかく、楽しい酒を飲もうではありませんか。
 曲江(杜甫) 一片花飛減却春 風飄万点正愁人 且看欲尽花経眼 莫厭傷多酒入脣 江上小堂巣翡翠 苑辺高塚臥麒麟 細推物理須行楽 何用浮名絆此身?