『お金はある。されど人や社会のためになる税金は…』

<2016年10月31日(月)>
『お金はある。されど人や社会のためになる税金は…』
 「貧しくて靴を買うお金もない兄妹なのに、それでも他人に優しくする心。それに僕は打たれてしまう」(1997年イラン映画「運動靴と赤い金魚」)と高倉健さん。「筆洗」(161031)は、イランの映画での貧しくも優しい兄弟の話と、片や日本の税制への矛盾を思う。「『富裕層』に指摘した申告漏れ所得は、前同年度比で約32%増の五百十六億円。税金によって社会は回っている。そのお金が貧しき人を助けもするが、富裕層に税を渋る傾向があるとすれば、社会の仕組みは成り立たぬ。お金はある。されど人や社会のためになる税金は…。あの貧しくも心美しい兄妹ならば、なぜと首をひねるか。」
 人も国家も、ものがあるとそれを守りたくなる。そのために、資金が必要になり、更なる資金を得て行かねばならなくなる。そして、それを守るために、また資金が必要になる。乗数効果と言うか、逓増法則というか、限りがない。欲深係数により人は、他人に優しくする心を低減させていくのか。我々はそれぞれに違った価値観を持ち、それに従って行動をするのだが、他者に対する倫理観は、共有したいものである。それを経済活動や行政に結び付けることは難しかろうが、他者あっての自分であることを忘れてはならない。(JN)