『たれに訴へんこの餓(ひも)じさ』

『たれに訴へんこの餓(ひも)じさ』
 「70年前のきょう、およそ25万の人たちが皇居前の広場を埋めた」と、「春秋」(日経/16/5/19)は、その頃の状態を伝える。「「人民大会」を伝えた翌日の本紙は「たれに訴へんこの餓(ひも)じさ」との見出しを掲げた。100万を超える人が飢え死にしかねない。そんな恐ろしい予測もあったらしい。さいわい、餓死が相次ぐようなことはなく、10年もしないうちに日本経済はめざましい発展の軌道に乗った。いまでは、食糧の増産ではなく出生率の向上こそが、国民的な課題となっている。70年の間にこの国がたどった変化の大きさに、いまさらながら目を見張らされる。同時に、食べるのに困らない日々を感謝したい。
 日本帝国は、国民の生活など顧みず、鉄砲玉を打っていたのか。人の命というものを疎かにしていたのか、都市への大空襲や原爆2発など、落とされるまえに何とかならなかったのであろうか。産業は破壊され、マイナスからの出発、正に餓じい状態から戦後は始まった。ここから、這い上がった日本、おかげでその後に生まれたものは、常に成長を続ける日本を経験した。そのような経済成長はもうないであろうが、今の飽食の時代に感謝するが、生活水準の格差及び資源の無駄遣いを私たちは改善して、皆が食べるのに困らない時代にして行きたい。(JN)