『初夏新緑の候、榻を樹下に据えて十片の刺身・・・』

『初夏新緑の候、榻を樹下に据えて十片の刺身、一壺の酒に酔う、その楽王侯にまさる』
 国木田独歩が、「刺身は鰹魚を最上味とす。鮪を説き鯛を云う者あれども余は与みせず」と、「春秋」(日経/16/5/16)は紹介する。しかし、そのカツオは「近年は太平洋沿岸での水揚げがずいぶん減っている。今年も店頭では入荷が少なく、値が高く、型は小さい三重苦だそうだ。北上してくる前に赤道のあたりで各国の漁船がごっそり取っていくという。『初夏新緑の候、榻を樹下に据えて十片の刺身、一壺の酒に酔う、その楽王侯にまさる』と独歩はたたえた。10片を5片に減らしてでも、王侯気分はみなで分かち合いたい。」
 そういえば初鰹の時期であろうが、まだ今シーズンのカツオに出会っていない。カツオも貴重品になったのか。庶民のところには届かなくなってきたか。日本人だけでなく、他国もカツオの味を知ってしまったようで、日本までカツオが泳いで来られないか。これは、カツオ、大好きの日本人にとって大問題である。私ももちろん大好きなカツオを今後どう食すか。仕方ないのだが、この大好物は旨みたっぷりである故に、痛風持ちには危険な魚であるらしい。従って、当方も10片を5片に減らして行くしかないぜよ。(JN)