『きみが年をとったときにも、席を譲ってもらえないぞ』

『きみが年をとったときにも、席を譲ってもらえないぞ』
 「チェルノブイリ原発の事故後、席を譲らぬ少年は言う『ぼくらみんな、もうすぐ死んじゃうから』、東京新聞「筆洗」(2015年10月10日)の『チェルノブイリの祈り』の引用である。「この本の執筆時に彼女は、過去ではなく未来のことを書いているという感覚を持ったそうだ。福島の事故を見て彼女は『私は過去についての本を書いていたのに、それは未来のことだったとは』と慨嘆したという。ある医師は作家にこう問い掛けたそうだ。『人々は、自分が壮大なできごとの参加者だということがわかっているのだろうか』」。
 人は生きていこうとするために努力をしていき、その過程で人々は様々なものを生んできた。自分たちを守るために武器を作り、電気を豊富に得ようとダム、火力発電、原発を生み出した。それが安心して生きていくことと対立することになろうが、それぞれの目標達成が優先される。私たちは、愚かにもその流れに気付かず、流され死んでいく。為政者のゲームの駒の一つとして、簡単に死んでいくのか。架空のゲームの駒は何度でも使えるが、私たちの命は死を以て無となる。私たちはそうならないように、生き抜く意思を持ち、自己否定の存在であってはならない。若者よ、自分の将来を想像し、おじいさんに席を譲ろう。よろしく。(JN)