『熱を帯びすぎた政治は「兇暴な怪物」となって・・・・・』

『熱を帯びすぎた政治は「兇暴な怪物」となって・・・・・』
 小林秀雄の「政治家」と題する古い文章が、きのう発売の文芸誌「新潮」で発掘されたことについて、朝日「天声人語」(2015年8月8日)では、その洞察力を紹介する。「小林は、大臣という存在を『才腕ある事務員』と表現している。過剰な期待を抱かない。なぜなら、ファシズムに見られるように、熱を帯びすぎた政治は『兇暴な怪物』となって、私たちを『食い殺し』かねないからである。選挙権年齢が18歳以上に引き下げられ、主権者教育のあり方が問われる。その教材の書棚の一角に、これらの小林の作品が並んでいてもいい。」
 小林秀雄の魅力はなんだろう。思想的体系が特にあるでもなく、話の一つ一つに引き寄せられる。文書にリズムがあり、当時の講演会の録音を聴くと、話がトントンと話が弾んでる。少々偉そうで憎たらしい喋りだが、その内容は尤もで、どんどん引き寄せられていく。「諸君はどうだね。政治家をどのように考えるかね。僕はね、彼らは事業を立ち上げるときの調整役なんだと考えるんだよ。・・・・・大臣なんて事務員の親方だよ。・・・・」なんて言っているのであろうか。とにかく、滅多に読むことの無い「文芸誌・新潮」を買いに本屋へ。(JN)