子供の遊びの世界に親の人形などありえない

子供の遊びの世界に親の人形などありえない
東京新聞「筆洗」2015年5月5日) 日本の香山リカさん(11)と米国のバーバラ・ミリセント・ロバーツさん(17)。お二人の女性の最大の違いは「家族」かもしれない。「リカちゃん」シリーズにはお父さん、お母さんの人形があるのに対し、バービーのシリーズには姉妹はいても両親の人形はない。旧タカラはかつて米国戦略でマテル社に「リカちゃん」を売り込んだことがある。マテル社は「リカちゃん」の受け入れを断ったという。「米国ではそんな遊び方をする子はいない」。米国の子どもは早い自立を促される存在で、「子供の遊びの世界に親の人形などありえないという感覚」という。逆に日本人は人形であろうと「子」を見守る親や家族を用意してあげたいと考えるのか。「風吹けば来るや隣の鯉幟」(高浜虚子)。子どもが減ったせいか、あまりお目にかからなくなったが、なるほど、こいのぼりも、子ども一匹だけでは泳がせていない。
(JN) 私たち日本人の風土なのか、親子べったりの家族。子供が親離れできないのか、親が子離れできないのか、相互の問題なのであろう。社会自体が、それを望んでいるのか、それはなぜであろう。動物の行動も、ある程度育つと追い出しをするのに。大人と独立への憧れも、「リカちゃん」と「バービー」に違いがある。11歳と17歳というこの年齢に違い。「バービー」17歳では、親はうるさい存在、早く家を出て自由になりたい。「リカちゃん」は、ママやパパと仲良くお買いものである。そんな子供たちはどんどん少なくなり、尚更、過保護で子離れできなくなる。日本人のマザコンファザコンは、更に進化して行きそうだ。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2015050502000127.html