緑があることの幸せを考えよう

緑があることの幸せを考えよう
(毎日「余録」2015年05月04日) 幕末から明治に来日した英国公使夫人のメアリー・フレーザーは、「松の木に縁取られた日本の山ほど、ひとつひとつがこの世ならぬ個性の美しさをたたえているものはない」。「曲線や突起のある繊細でしかも大胆な表情、それらは西洋の山にはないものだ。山頂には一群の松がなごやかに並び、靄(もや)が涙のひとしずくをたらす暗緑色の小枝や、強い日ざしをうけてかがやく金銅色の大枝を張り出している」。夫人が見たのはアカマツ林らしい。実は荒れ地に育つアカマツの林は土壌の疲弊を表していたという。幕末から明治は日本で最も森林が荒れていた時代だった。当時の国土に占める森林の比率は約45%という。その後の戦争や復興の曲折を経て今は67%となった森林率である。人口稠密(ちゅうみつ)な先進産業社会としては異例の「森の国」となった。緑は増えても森林を管理する林業が衰退する今日の日本だ。森の国から、それを作り出す人々の誇りが込められた「美しい森の国」へ。知恵を集めたい。
(JN) 生活圏が無味乾燥であろうと、ちょっと時間を使えば森に会える。これがありがたい。勿論、自宅や職場の直ぐ近くに森があれば最良いが、これが今の私たちの選択なのであろう。我が国には、モンスーン気候と山のおかげでら森があるのだろうか。随分と人口増加で、山を切り開き、木々を伐採してきた。しかし、もう人口は増えないから、壊した自然を取り戻すことをしたい。我が国は中心に山があり、四方に海がある。その海を肥沃にするのは、山の森のおかげである。我が国のこの大事な自然を維持して行くためにも、山の森を大切にしたい。この「みどりの日」に、緑の価値を考え、私たちが今後もこの国で生きて行くためにどうすればよいのか、価値観の見直しもしたい。この自然があるということが、どんなにありがたいことか。それをこの連休中に、味わった方もあるだろう。否、この時期は、自然を味わうより、混雑で人を見ることの方がおもしろいのかもしれないですね。
http://mainichi.jp/opinion/news/20150504k0000m070075000c.html