若い芽を伸ばすには、夢見る雰囲気、磨き合う環境を

若い芽を伸ばすには、夢見る雰囲気、磨き合う環境を
(日経「春秋」2015/3/13付) 週刊誌が東大合格者数の高校別順位を載せる季節になった。今年も中高一貫の私立勢が上位を固めている。公立高では都立日比谷などが目立つ程度だ。この番付で首位だったころの日比谷高校を描いた小説に、卒業生でもある庄司薫さんの「赤頭巾ちゃん気をつけて」がある。規律が厳しくガリ勉の優等生ぞろいと思いきや、部活や生徒会行事が盛んで、若者の自主性を最大限に重んじる学校だったと振り返る。程度の差はあれ、かつて古い都立高にはそんな空気があった。名門校と進学校は違う。教育問題に詳しいおおたとしまさ氏。学業や芸術で、ひとかどの人物になるのが当たり前との校風があり、生徒が自然に伸びるのが名門校。尻をたたかれ嫌々頑張るのとは違う。私立優位になった理由をおおた氏は2つ挙げる。経営に失敗すればつぶれるという危機感。そして時の行政に左右されず文化や伝統を熟成しやすかった点だ。お金をかけたから人が育つとは限らない。未来を夢見る雰囲気、互いを磨き合う仲間など、規則だけでは生み出せない環境こそが、若い芽を伸ばすのかもしれない。
(JN) 最近履歴書の記入例は、日比谷高校卒業、東大卒業であった。最近のものはどうなのだろうか。日本は、ご承知の通り国の資金を個々の子供たちに投資することがOECD諸国の中では低く、そのため、親の資金力が学力に影響もしているとも言われることがある。これが事実であれは、教育を受ける権利が平等ではないとも言えようか。それを私たちが認めている以上、変わらないであろう。しかし、若者には学力も含めて若者の成長には、部活や生徒会が大事である。自分たちで世界を創っていくことを体験して行く。人と人とのぶつかり合い。そのための環境をそれぞれの学校が環境づくりし、日本の国力を高めることが必要であろう。それは、名門であろうがそうでなかろうが、その構造を考えることが求められる。
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO84331320T10C15A3MM8000/