自転車、練習中の文豪を思わせる運転が目立つ

(日経「春秋」2015/1/24付) 何度落ちたことか。夏目漱石は留学先のロンドンで自転車の稽古に励んだ。深刻な心の病の気分転換にと勧められた。その悪戦苦闘ぶりを作品に書いている。事故も起こしかけた。鉄道馬車と荷馬車の間を抜けようとしたら向こうから自転車が来た。あわや衝突かと思ったとたん、転がり落ちた。英国では大サイクルブームの後で、男女、年齢を問わず「経済的余裕がある者のほとんどすべてが自転車に乗った」時代だった。現代日本では、練習中の文豪を思わせる運転が目立つ。事故も多い。政府は、改正道路交通法で、6月から信号無視など危険行為を繰り返した違反者に講習を義務づけて、マナー向上をはかるという。なにしろ、東京の街中では歩道を猛スピードで走る姿をよく見かける。漱石は帰京後、妻が勧めても乗らなかった。理由は「ロンドンと違って、道が悪くて、そのうえせせこましくていかん」。いまも車が多い車道は危険だ。東京都は五輪に向けて、ロンドンを手本に、専用レーンを増やすそうだ。マナーに加えて道路が整うことで、危ない環境も変わると期待したい。
(JN) 自転車は、便利であり、又気持ち良い。でも、迷惑でもある。平気で歩行者に向かってきて脅し押し退ける。後方からベルを鳴らして慌てさせられる。子供には、自転車に乗る前に、マナーを教えるべきであった。狭い日本の歩道、お互い様の精神が欲しい。日本人は、御上に規則を作ってもらわないとだめな、未熟な民族なのか、子供から年寄りまで我が儘な運転仕放題である。道路交通法の改正があるようだが、その前に、人としてのマナー講座を老若男女受けさせたい。狭く小さく少ないこの日本、心ぐらいは広く大き緩やかにできないであろうか。東京オリンピックまでに、金髪のお嬢さんと会話ができるように外国語を身に付けたいが、その前に譲り合いの精神を身に付けたい。
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO82339720U5A120C1MM8000/