「昔この国に帰省ラッシュという現象があった」

(日経「春秋」2014/8/17付) この週末で夏季休暇も終わり、という職場も多かろう。きのうの土曜日、大荷物を抱えた客でにぎわう東京駅をのぞいてみた。下りの新幹線に「空席あり」の表示が並び、夏も盛りを越えたと実感する。都会へのUターンラッシュはこの週末が山だとニュース番組が伝える。しかし帰省による高速道路の渋滞も、鉄道の混雑も、かつてに比べずいぶんましになった。明治安田生命が現役社会人に夏休みの過ごし方を聞いたところ、「国内旅行」が「帰省」を2年連続で上回った。JTBの調査でも帰省目的の旅行者が減っている。田舎から上京した団塊世代から、都市近郊で生まれ育った世代へ。都会に住む人の変化が垣間見える。ソニー損害保険によれば、車を持つ人のうち「ガソリン高で帰省中止か手段の変更を考えた」人が、若者を中心に2割弱いた。地方で町や村が消える。休みの時期も過ごし方も分かれる。若者の車離れもある。「昔この国に帰省ラッシュという現象があった」。そう語られる日が来るのだろうか。
(JN) お盆は田舎に帰って親戚縁者と祖先を思い、今の自分たちの無事を確認し合う。それが帰省する人が少なくなったのはなぜであろうか。それは社会学者の分析に依るところである。唯思うに、40〜50年前までは、とにかく親戚縁者が集まること楽しく行っていたが、そういうこと自体が減った。ご近所地区会、家族親戚、職場、及び学校など、強制的に集めてどこかへ行って何かをしようということが無くなった。個人個人の時間を犠牲にしなくなったのであろうか。でも、冠婚葬祭の他、盆と正月は連絡なしなくとも集まってくる。帰省ラッシュが日本人の鼓動でないのか。さて、お盆は終わったが、私には夏休みはまだ残っている。半都会人、一人どこへトリップしようか。
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