「やっぱり日々の鍛錬よりカネだねえ」?

(日経「春秋」2014/7/24付) 「甲子園にはどうやって行けばいいんで……」。道を尋ねられた人が応じた。「やっぱり日々の鍛錬だねえ」。野球に限らない。スポーツや芸術には、たとえばテニスのウィンブルドンのように、世界に名の通った聖地がある。クラシック音楽ならウィーンの楽友協会大ホールだろうか。そのホールが、じつは270万〜400万円ほど払えばだれでも借りられ、去年は中国の団体だけで130以上が使ったという。むろん水準が伴えばケチをつける筋合いはないのだが、本紙の中国発の記事によれば、「楽友協会はカラオケホールと化した」と中国メディアまでたたいているそうだから、推して知るべしだ。倹約を旗印に掲げる習近平体制である。さすがに文化省が外国の有名ホールでの公演を原則禁じたというが、「やっぱり日々の鍛錬よりカネだねえ」、そんな心根がだれにも潜んでいないか。ちょっと気になる。
(JN) 金をかければ人は集まって来るが、その集まった集団の能力を上げるのは容易ではない。その専門力の他、チームとしてのバランスも必要だし、そして、その団体が継続して世の中に認められるためには、道徳的な基盤を持っていなければならない。中国と言う国は、あまりにも大きくまた人が多いので、一括りにいうことができないが、倫理的な問題が目立つのはなぜであろうか。人民元で何でも何とかしてしまおうと奢りがあるのか。ここの国の風土であるのか。個々の国の一般大衆はまだ生きることに精一杯である。目先のことにばかり囚われていては何時まで経っても中国製品の信用は上がらない。身体も心も鍛錬が必要である。それが何事も目標に向かうための生き方及び行き方である。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO74666320U4A720C1MM8000/