「緊張してたら、太りませんッ」

(日経「春秋」2014/6/3付) 女優の故高峰秀子さんはまったく間食をしなかった。彼女の晩年に養女になった斎藤明美さんが、「太っちゃって」とぼやいて一喝された。「緊張してたら、太りませんッ」。高峰さんは45年前のウエディングドレスが着られたというが、そんな人は世界で急減しているらしい。「1990年代から体重増の傾向が強まり、いまや21億人、大人の3人に1人が太りすぎ」と。日本人は男性の4.5%、女性の3.3%を占めるそうだ。先進国で日本の数字はまだ小さく、ちなみに肥満大国といわれる米国は男性の32%、女性の34%が肥満というから桁が違う。むろん地球上の飢餓は克服されていないのに、肥満は中国やインドなど新興国も巻き込む勢いである。寿命を縮めることがある、といえばたばこだ。肥満はたばこに続いて世界が格闘する健康上の大テーマのようである。簡単ではない。高峰さんもたばこは好きだったという。
(JN) 私たちは、歩かなくなった。便利な世の中、階段は動くし、最近は道も動くところが多くなった。ちょっとのところでも、自動車に乗る。食べ物が良くなってきたのに、食べる量が同じで、動きが少なければ、太るのは当たり前である。緊張していれば太りませんとあるが、緊張している時間は昔より長いのではないかなと思うが、それが実は緊張していない時間なのかもしれない。この地球上では、まだ飢餓の状態がある。この分配のアンバランスを私たちは、改善しなければならない。肥満は、単に先進国の病気ではなく、地球上の病と考え、緊張感を持って、肥満と飢餓を地球上から撲滅したい。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO72181890T00C14A6MM8000/