飛行に携わる人たちの「不屈の精神」に魅せられた

(日経「春秋」2014/5/6付) 「風の壁を抜けると急に、視界が広がる。小さな街並みや工場、光る川が目に飛び込んでくる。壮大な音楽に体をさらわれ、空を滑っていく」、ヘッセ「空の旅」。空中散歩がよほど気に入ったのか。1928年には、開設早々のルフトハンザの定期旅客機でベルリンからチューリヒに旅した。ヘッセがそれほど飛ぶことに熱中したのは、飛行に携わる人たちの「不屈の精神」に魅せられたからだという。格安航空会社(LCC)ピーチが逆風に揺れている。機長不足で約2千便の減便を発表。旅客機が異常降下も起こした。LCCは低価格・効率経営で大手と競う挑戦者ではなかったか。ずさんな人繰りや運航計画からはチャレンジ精神は見えてこない。「不屈の精神」が失われていては、空の旅、飛行への情熱も色あせる。
(JN) パイロットあっての航空機関、その人材がいなくては商売にならない。安全あっての航空会社ゆえ、能力あるパイロットが欠かせない。「不屈の精神」を持つパイロットは簡単に作りことはできないので、時間と経費が掛かる。ここを充分に準備できないのでは、チャレンジの資格がない。人手不足を無理な運用で補うことは、「チャレンジ精神は見えてこない」と、その通りである。事故があっても、次の運行を優先することはいかなる行為か。チャレンジよりも、チェンジが必要である。これでは、ヘッセはこう言うであろう。「そのあとは神の名において、死よ私を連れて行け、アーメン」。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO70800110W4A500C1MM8000/