世の中の移り変わりにしなやかに対処しながら伝統を守っていこう

(日経「春秋」2014/4/16付) 寒ブリなど豊かな海産物で知られる富山県氷見市は「獅子舞の里」と呼ばれたりもする。「日本書紀」によれば、獅子舞が中国から伝わってきたのは7世紀。長い時をかけて日本の風土に根を下ろし、土地ごとに独自の成長をとげてきたらしい。伝統芸能のご多分に漏れず、氷見の獅子舞も時代の波に激しく洗われている。とりわけ影響が大きいのは少子高齢化の荒波だ。伝統的に獅子舞を担ってきたのは、10代半ばから30歳までの男性が集まった「青年団」。だが、その世代の男性が足りなくなっている集落が少なくないのだ。やむなく断念しているところもある。それでも何とかやりくりしている集落が目立つ。かつての青年団員、つまり中高年のオジさんたちも加わって、保存会を立ち上げる。従来は裏方だった女性たちが参加する……。世の中の移り変わりにしなやかに対処しながら伝統を守っていこうとする姿に、元気をもらう。
(JN) 伝統は、時代とともに変化して生き抜いてきているから伝統として残っているのであろう。それは、やむを得ない事情での対応であろうが、その変化がやがて定着して、伝統になって行く。我が日本は、少子高齢化により、様々なことが変化してくのであろう。その対応は苦渋の選択が多くあろう。それを未来の人たちがどう捉えるかはお任せして、今の私たちは伝統を滅ぼすことなく、変化を与えながら継続していきたい。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO69935600W4A410C1MM8000/