店の一角にこたつを置いた

(日経「春秋」2014/1/12付) 有数の繁華街の池袋に、この街のビルの2階に昨年秋、1軒の小ぶりな個人書店が開業した。寒さがつのるころ店の一角にこたつを置いた。見知らぬ客同士が靴を脱ぎ、暖を取りつつ愛読書について語り始めた。読書会や勉強会が開かれる。本の著者が一日店長を引き受け、読者が友人になっていく。互いに本を薦め合い、高価な本が売れる。今や本好きには注目の店になった。かつて多くの街に、こうした独立経営の書店があった。ライターの朴順梨さんはルポ「離島の本屋」で、各地の島の本屋さんを紹介する。本屋は本を買うだけの場所ではなく会話をし、ふれあい、安心する場なのだと朴さんは思う。書店に限らない。まず人に居場所を提供することで、結果としてモノも売れていく。逆転の発想が、街と店の未来を拓(ひら)く。
(JN) 昔の街はその地域にいる者同士がお互いを知っている中で、地域コミュニケーションがあったし、その中での信頼関係があった。今の世の中、そういった地域の者同士さえお互いを知らず、また人の流動性が広く速い。そんな中でちょっと集まって話ができる。それも自分の興味あることを情報交換できるとはすばらしい。私はまだその小ぶりな個人書店には行っていないので、直接様子を知らないが、こたつを囲んでの付き合いは普通家族や親しき者同士でなければできない非常に近い関係をつくれる。自分たちの街にはそういった店があると良いね。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO65230840S4A110C1MM8000/