「鉄道忌避伝説の謎」

(日経「春秋」2013/9/19付) 全国に鉄道が延びていく明治の昔、線路敷設や駅の設置を拒んだ町が多かったという話をよく聞く。宿場がさびれる、若者が都会に出ていく、煤煙で桑が枯れる・・・など、そんな指摘だ。ところが青木栄一著「鉄道忌避伝説の謎」によれば、その大半は根拠がない。鉄道誘致を逃したのを頑固なご先祖のせいにしたわけだ。リニア中央新幹線をめぐっても、将来さまざまな言い伝えが生まれるかもしれない。2027年開業をめざすリニアの詳細なルートや駅の位置を公表した。時速500キロの速さを生かすために余計な回り道はいっさい避けたルートであり、駅の位置である。逃した地域にしてみれば、カネもかかるし、なあに、あんなものとやせ我慢しておきたくもなろう。夢を膨らませ、嫉妬も少しまとって、めくるめく心地の超特急が走りだす。
(JN) 人の心はデリケート、思い通りにならなければ、自分たちの不利益にならないその理由が必要になる。仕事もそこはお互い様でやらないと、後で怨み骨髄にということになりかねない。それにしても2027年とは随分先のように感じる。自分は70歳を超えてしまうので、生きているかもわからぬ夢の超特急である。それまでに、日本という国は無事でいられるのであろうか。リニアの電磁波を浴びる前に、原発放射能でどうにかなっていないであろうか。それはそれとして、どんな「リニア伝説」が生まれるであろうか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO59893490Z10C13A9MM8000/