津波避難に警鐘鳴らす判決

(日経「社説」2013/9/18付) 非常時に、幼い子どもや高齢者をどのように避難誘導すればいいのか。2011年、東日本大震災の大津波で、宮城県石巻市の私立日和幼稚園の園児5人が死亡した。高台にあった幼稚園は被害を免れたが、園側が地震の直後に園児を自宅に帰すことを決め、送迎バスに乗せて低地の沿岸部へと向かったため津波に巻き込まれた。この事故について、4人の園児の遺族が「幼稚園側が安全配慮を怠った」として仙台地裁に損害賠償を求めていた。裁判の判決あh「危険を予見、回避する能力が未発達」「自らの生命、身体を守る手立てがない」という点を重視している。これは幼稚園に限らず、まだ幼い子どもがいる小学校、高齢者や障害のある人のための施設、病院なども同じことだ。いつ、どこで同じような状況になってもおかしくないとの危機意識を改めて持つ必要がある。裁判を通して、震災マニュアルが徹底されていなかったことや、それに沿った訓練が十分実施されていなかったことも明らかになった。各地の幼稚園や高齢者施設などを中心に、震災への平時からの備えに一段と力を入れたい。
(JN) 非常事態において判断は難しい。考えてはいられないし、考えることはことを遅らせる。あらかじめ決められてことを実行するしかない。そのために、十分考慮された方針とそれに従った訓練を十分に行わねばならない。こういったことは人間の一生の中で起きるとは限らないことであるが、最悪を考えた訓練をしたい。この幼稚園のことは、予めの行動方針とは異なることを行った。考えてしまったからであろう。私たちはこの教訓を真摯に受け止め、今後の災害に対応したい。特に、幼い子供、障がいを持つ者、及び高齢者等の誘導は単純に考えずに行動することができるようにしたい。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO59841550Y3A910C1EA1000/