まばゆく輝いていたモーターシティーの悲劇

(日経「春秋」2013/7/20付) 自治体が破綻するとはこういうことか――。北海道夕張市を訪れた人は誰しも、かつて殷賑(いんしん)を極めたこの炭都の苦境を目の当たりにするだろう。財政破綻が明らかになって7年。借金はなお320億円にのぼり、2026年度までの完済をめざして血のにじむ努力が続く。職員を徹底削減した市役所はがらんどうのようだ。最盛期に11万人を超えた人口は10分の1以下という。クルマ産業の町として世界に知られた米デトロイト市の、桁違いの財政破綻が衝撃を与えている。負債総額は180億ドル。自動車大手3社(ビッグスリー)に支えられてまばゆく輝いていたモーターシティーの悲劇だ。すでに市街地のインフラは傷みが激しく、これからは行政サービスにもさらなる影響が出そうだという。わが夕張市にも増して苦しい道のりが予想される。多くのものを失ってもひるまぬ人々がいるに違いない。再生の物語が描かれるに違いない。
(JN) 経済価値と経済パフォーマンスが支配している以上、生成発展没落は生じる。こんな巨大都市が破綻するなんて、あり得ないと思っていたが、支出入のバランスで成り立つ価値基準では、出るものが多ければ破綻する。この状態は突然やってきたわけでなく、また予測できなかったわけでもない。これは政治経済の理論やそれに係るもの無能ゆえか、資本の力に人間は敵わないのか。これは他人事ではなく、身近の多くにその可能性を秘めている。若い人たちの未来を破たんさせないためには、老兵は立法行政から去るべきではなかろうか。若い有能な人材をそれぞれが見出し、未来を託さねばならない。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO57552550Q3A720C1MM8000/