銀座、見た目は新しくとも精神は不変

(日経「春秋」2013/7/8付) 先月末、東京・銀座で最も歴史の古い百貨店、松坂屋銀座店が、建て替えのためいったん店を閉じた。周辺の建物も取り壊し、銀座で最大級の新ビルを建てる計画。隣接する銀行も洋品店もすでに閉店。そうして姿を消す中に築80年以上の重厚なビルがある。タイル張りの壁が味わい深く、地下には古いバーも。目に見える歴史が銀座からまた1つ消える。商業地として魅力の高い銀座の歴史は再開発や建て替えの歴史でもある。個々の建物が大きくなれば見上げる空が狭くなる。銀座名物の裏路地も危うい。しかし、そこは銀座というべきか。松坂屋の建て替えでは、百貨店側の超高層ビル案を地元が拒否。銀座全体で建物の高さを制限する新ルールまで作ってしまった。新ビル1階には再開発で消える道に代わる歩行者通路を設ける。銀座のビルではよくみられる工夫だ。見た目は新しくとも精神は不変。これが文化の厚みか。
(JN) 山で生活している者には銀座の変化はリアルに分からないが、成金趣味に只管ビルを高くしていくようではないようだ。地域の建築ルールも御上の力でなく、自分たちでつくることが銀座の文化人の心意気であろう。新しい銀座が楽しみである。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO57095420Y3A700C1MM8000/