化粧品に縁なきオジサンにも記憶をよみがえらせる

(日経「春秋」2013/3/13付) 前田美波里さんの小麦色の肌が、子供心にもまぶしかった。「ゆれる、まなざし」、「ナツコの夏」、「君のひとみは10000ボルト」、「ニュアンスしましょ」と惹句(じゃっく)や歌をあれこれ思い出す。みんな資生堂のコマーシャルである。化粧品に縁なきオジサンにもこれだけ記憶をよみがえらせるのだから、この会社のCM戦略のうまさは並大抵ではない。しかし世界があこがれるそのブランドも昨今はいささか色あせ、目下の話題は異例の社長交代劇だ。2年前に52歳の若さで名門のかじ取りを委ねられた社長が体調不良を理由に退任し、66歳の会長が復帰するという。資生堂といえばアールヌーボーの雰囲気ただよう花椿(はなつばき)と唐草模様である。時代が変わっても世に絶えることのないおしゃれ心と、消費の華やぎとを映すシンボルだ。苦境をうまく脱しないと、クールジャパンの名折れにもなろう。
(JN) 真行寺君枝にドキドキしたのは三十数年前、最近の花椿のCMでもドキドキするおじさんたちが良いものを消費しなければならないのであろう。資本主義の発達は女性たちの贅沢とともにある。その贅沢のために、我々おじさんたちが女性のために女性のもを消費したくなような製品作りに期待したい。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO52746730T10C13A3MM8000/