小林秀雄は入試に出すな

(日経「春秋」2013/2/6付)
 小林秀雄は入試に出すな。丸谷才一が、かつて訴えていた。「彼の文章は飛躍が多く、語の指し示す概念は曖昧で、論理の進行はしばしば乱れがちである。偉大さは認めるけれど、難解なこういう型の文章の出題者は責められなければならない、これで苦しんだ若者は「文学」への悪意をいだく――と非難したのだ。たしかに受験生のころ、この人の独特の調子に悩まされた人は少なくあるまい。今年は初めて、大学入試センター試験小林秀雄が出た。受験生は大いに戸惑ったようだ。結局は、短時間でやっつける試験に向くかどうかの問題だろう。安直な5択方式でなく、たとえば「無常という事」についてじっくり語り合う。そこまで手間ひまかけた選抜ならば、神様も出てきがいがあるかもしれない。
(JN) 数値化が容易い現在のペーパー入試である限り、小林秀雄は使ってはならないようだ。しかし、このペーパー入試にその必要性があるのか。DNC試験は別として、もっと、各大学の入試は、口頭試問を取り入れるべきではないか。また、英語は英会話面接にすべきであろう。そのためには、予め要求される基準を明確にしておくことが必要となる。また面接する者の力が問われるであろう。さて、小林秀雄の出番はあるか否か。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO51432020W3A200C1MM8000/