気になるのは日銀の独立性だ

(日経「春秋」2012/12/21付) 徳川時代、商業の中心地の日本橋江戸城を結んでいたのが、外堀にかかった常磐橋だ。城側から橋を渡ったところに、幕府発行の金貨を製造する町人集団「金座」があった。幕府は差益、金座を運営する有力町人は鋳造の手数料を狙い、結託して金の含有量を減らす改鋳を繰り返した。このため、物価が高騰して経済が混乱する場合が多かった。その社会不安は幕府が倒れる一因になった。今、日銀が新政権を担う自民党との協調姿勢を強めている。気になるのは日銀の独立性だ。金融政策を政府とは別の組織がつかさどる知恵は歴史の教訓でもある。デフレ脱却に強力な金融緩和は欠かせないが、注意深く進めてほしい。常磐橋も被災し復旧中で、現在は通行できない。江戸時代なら幕府と金座の連絡がとりにくくなり、改鋳をたくらむにも困ったはず。政府・日銀に、あまり親密になるなと言っているわけでもあるまいが。
(JN) どこかに権力や金が集中しすぎると、運営はしやすくなるのだが、そのどこかの機能が良くなければ、それは独裁を招き、国家は揺れ動くことになる。船頭だらけでも困るし、そこが首相の能力によるし、国民がきちんと理解していなければならない。しかし、その前に、この政策・方法は大丈夫なのだろうか。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO49846240R21C12A2MM8000/