民主主義の強さと難しさ

(日経「春秋」2012/11/8付) 「イツクモ選挙ノウハサノミナリ」と140年前に米国を見た「岩倉使節団」の随員が記している。維新後の日本をたち列強を巡った使節団は、ちょうど大統領選を迎えていた米国でその熱気に触れた。現在は、大接戦が伝えられたわりには差をつけての勝利だ。保守派とリベラル派は角突き合わせたままで、テレビを使った選挙期間中の激しい中傷合戦は米国社会に傷を残してうずくだろう。とはいえ民主主義の強さと難しさを、海をこえてかくも考えさせてくれる選挙はあるまい。ちなみに「回覧実記」は当時の米国政治をほめたりけなしたり、大衆迎合に傾いて「上策ハ廃シテ下策ニ帰スルヲ常トス」とも述べている。「選挙の噂」が飛びかう現下のニッポンにもずしりと重い、足かけ3世紀にわたる指摘だ。
(JN) 歴史の無い国は、自分たちで着実に歴史を作っている。そして、まだまだ米国は強い。国民の質は別として、この大統領制度を作り上げ、国民が全員ではないがお祭り騒ぎで、自立心を持ち自分たちのリーダーを決めている。これに比べて、我が国の国民はお任せ主義である。それが御上から一般大衆まで好都合に動いていたのであろうか。我々もそろそろ民主主義を理解していかねばならない。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO48191330Y2A101C1MM8000/