食糧問題にもっと危機感を

(日経「社説」2012/10/20付) 世界の主要国が16日、ローマで食糧価格高騰への対応策を話し合い、農産物の増産や需給情報の共有などに協調して取り組むことで合意した。しかし、食糧需給への影響力が大きい米国やロシア、中国の閣僚は参加せず、共同声明も出せなかった。深刻な干ばつで穀物生産量が落ち込んだ米国に対しては、国連などが大量のトウモロコシを原料に使うバイオエタノール普及政策の見直しを求めている。米国やロシアは食糧問題の行方を左右する主要生産国だけに、閣僚が参加して各国に輸出見通しや対応策を説明すべきだった。食糧高騰は個人消費や企業収益の悪化要因となる。発展途上国などでの飢餓拡大や政情不安にもつながる。食糧問題への対応には各国の協力が欠かせず、自国優先の考えは状況を悪化させる。各国は直面する食糧問題にもっと危機感を持ち、具体策を急ぐべきだ。
(JN)現在の資本主義はグローバル化し、どこかで何かが起きれば、世界中に影響が出る。また食糧は気候に大きく左右され、不安定である。それでも、全世界の食糧を平たく世界へ分配すれば、余る量の生産であるのに日々餓死者が出ているのが現実である。食糧については、自由貿易の効率的考えや利益をむさぼる企業方式だけではいつまでも、餓死者を生み出していく。各国は、経済効率を度外視して、ある程度自国の需要を補える供給力をそれぞれに責任を持つべきである。大国の食糧戦略に圧されていてはだめである。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO47466000Q2A021C1EA1000/