眠っている間に記憶に犯行を刷り込まれた

(日経「春秋」2012/10/19付) 「睡眠と記憶は脳のなかの別々の神経回路がコントロールしている」。脳のある部分に情報を入力してやれば眠っているのに眠りを妨げられることなくものを覚えられる……。もちろん、一夜明けると知らぬ間に博識になっていた、などというのは遠い将来の話だろう。しかし、知らぬ間に犯人になっていた、というのは現実の問題である。犯罪予告が発信されたパソコンの持ち主4人に誤認逮捕だった可能性が高まり、警察庁長官が謝罪を検討していると語ったという。まず憎むべきは捜査をあざ笑うかのような犯行声明を送ってきた真犯人だ。もうひとつ、誤って逮捕されたのに犯行を認めた人がいるのはなぜか。その理由も警察には明らかにしてもらわねばならない。まさか、眠っている間に記憶に犯行を刷り込まれたわけではないのだから。
(JN)人の心は脆弱というか、いい加減というか、脅迫により有らぬことを認めたり、無いことを思い込んでそのつもりになったりする。その点コンピュータは正確であると思ったが、簡単に外部からコントロールされてしまう。人類の歴史もそんなもんであろうか。その時々の権力者によって変えられ、それが史実になって行く。人々が眠っている間に記憶ならぬ記録が刷り込まれていく。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO47423020Z11C12A0MM8000/