どんぐりころころ泣いてたら、仲良し子リスが飛んできて

(日経「春秋」2012/10/8付) 使わない文房具が引き出しにあふれている。その中に紛れてドングリが一つ。机の中に小さい秋がある。童謡の「どんぐりころころ」に、幻の3番の歌詞があるのをご存じだろうか。泣いてドジョウを困らせるのが2番。それで終わりでは子供にとって悲しすぎると考えたのだろう。別の音楽家が、どんぐりころころ泣いてたら、仲良し子リスが飛んできて、落ち葉にくるんでおんぶして急いでお山に連れてった――。桂文枝さんが創作落語でつくった4番もある。どんぐりころころ帰ったら、仲間がみんな拾われて、お話し相手がいなくなり、どじょうに会いに転がった……。実りの秋は忙しい。大きな国際会議があり、ノーベル賞の発表も続く。ところが政治の行方はさっぱり見通せず、景気の方向も定まらない。多くの政治家や経営者が、大差のない背比べをしているように見えるのは気のせいか。
(JN)日本は周りと違うと疎まれる。製品は正確に同じものを作る。四季は正確にやってくる。政治家も党が違ってもそんなに変わらない。この枠を超えたい優秀な者は、海外へ出て行ってしまう。ドジョウの発言はなんだかいいこと言うようだが、一向に実行されない。仲良しリスさんは本当に仲良しなのか。食べるために取っておくだけであろう。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO47022170Y2A001C1MM8000/