文科省いじめ対策に疑義あり

(日経「社説」2012/9/7付) これでいじめ問題が解決するなら苦労はしない。学校や家庭を支援する専門家らを「いじめ問題アドバイザー」として全国200カ所に配置する。子どもたちから相談を受けるスクールカウンセラーを増員する。個々の柔軟な対応が欠かせないこうした問題で、国が委嘱したアドバイザーを全国にあてがうといったやり方がさほど有効とは思えない。東京都品川区はいじめを繰り返す子どもへの出席停止制度を積極活用する方針を決めたが、こうした対応も、いじめに直面する学校現場の苦悩を物語っている。ここで国が前に出るなら、もっと構造的な部分に目を向けることだろう。排他的で、横並びを強いる学校空間。子どもを見守る力が衰えた地域社会。いじめ問題の根は深く、そこまで掘り下げたうえでの対策が求められる。文科省は、今回の総合対策のなかの事業の多くを「いじめ関連」として来年度予算の概算要求に盛り込んだ。世間が注目するいじめ対策に名を借りた、予算獲得や権限膨張の意図も透けて見える。
(JN) 国は教育をもっと個々の地域に任せるべきであろう。何もかも、統一した国の方針で行おうというのは、国家主義である。大枠の基本を示すでけで良いではないか。その基本は、大人の組織を守るのではなく、子どもたちの命を守るということである。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO45836590X00C12A9EA1000/