ここは気持ちのリセットが必要だろう

  • (日経/春秋 2012/8/20付) 「なんとなく面白くない」。そんな顔をした大人たちと、一日に何度もすれ違う。多くの人が夏の終わりを感じ始めたからだろう。気分を「仕事モード」に切り替えるのは簡単ではない。禅僧の小池龍之介さんによると、面白くない、さぼりたいという感情や欲求を脇に置き、意識をひたすら五感に集中する。すると脳がリセットされて、新鮮な心の状態に移れるという。人の心にはもう一つ癖がある。強い衝撃を体験すると、思考が「自閉モード」に入り、状況を客観的に見られなくなってしまう。尖閣諸島竹島の問題、いずれも下手な商売のにおいがする軽率な言動だが、ここで日本国内でも「反韓」「反中」の感情が高まれば、負の悪循環に陥ってしまう。毅然とした対応は国家として当然だが、愛国心には思考停止のワナも潜む。ここは気持ちのリセットが必要だろう。政治も国民も新鮮な気分で仕事に取り組み、晩夏の憂うつを吹き飛ばしたい。
  • (JN)我々は感情や欲求があるから、それを解決しようと努力する。しかし、五感のバランスを人も国も失ってはならない。再度、個々の役割を心得て、目標のずれがあるか、個々にまた周りとコミュニケーションをとり、リセットしよう。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO45173560Q2A820C1MM8000/