「あり得ない大発見」

  • (日経/春秋 2012/6/17付)「やっぱり」三分に「がっかり」七分だろうか。ニュートリノが東京・岡山間の距離にあたる730キロをわずか1億分の6秒だけ光より速くすっ飛んだ――。実験装置に不備があったと聞いてはいささか拍子抜けである。生煮えの発表をした裏には、ライバルを出し抜いて一番乗りを目指す功名心があったともいう。先陣争いはいわば本能。数々の発明や発見、つまりは進歩の源になってきたのも間違いなかろう。思えば記者のスクープだってそうした本能のたまものでもある。チャップリンアインシュタインに語ったそうだ。「私が人気があるのは誰でも私を理解できるから。あなたに人気があるのは誰もあなたを理解できないからです」。「がっかり」では困る。つまらない映画と一緒になる。

=>(JN)我々の平凡な生活には直接関係ないこの科学の話であるが、我々が知らないこの世界、魅力的である。世界一をめざし、トライを繰り返してほしい。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO42700010X10C12A6MM8000/