チャップリン、氷川丸で帰米 231218

 「氷川丸」の見学で『明窓(231217山陰中央新報)』は思う▼喜劇王の心を動かしたのは天ぷらだった。1932年6月に来日したチャップリンが帰米する際に日本郵船の「氷川丸」を選んだ逸話▼チャップリン日本橋「花長」のエビ天が大好物と知った日本郵船は、氷川丸の料理人を同店に修業に行かせ、複数の海運会社との競争に勝った▼氷川丸の船名の由来は武蔵国一宮の氷川神社。当時「優秀船」と呼ばれた船舶には神社の名前が付けられた▼同神社は約2千年前、出雲族の兄多毛比命が武蔵国造となり奉斎したとされ、神社名は出雲を流れる斐伊川に由来するとの説。氷川丸の神棚には氷川神社の祭神である大己貴命など出雲の神三柱が祭られ、多くの航海を守った▼氷川丸をはじめ各所に残る古代出雲の痕跡は出雲人の心をくすぐる。人の往来が復活した今、地域振興につなげられないか。
 (私たちの)神話の多くが出雲から出て来る。これは渡来人の歴史であるのか。それにしても、氷川神社の関東に多いこと▼私の住む市には氷川神社が複数ある。大陸の技術や文化が日本で広がったのは渡来人の日本開拓のおかげであるらしい。そんなことを考えずに、私は氷川丸を見学した。