百貨店の「今」 231205

 百貨店が“消滅”しつつある今、『水や空(231204長崎新聞)』は百貨店を思う▲大正期、デパートの売り場は畳敷きだったらしい。昭和に入ると、佐世保市の田中丸デパートは靴を履いて店内を回れるように▲参考にした「佐世保玉屋50年小史」には昭和初期、成人女性の間で〈アッパッパーと呼ばれる簡単服が流行〉とある▲なるほど、和服から洋服へと装いが変わり、靴履きで店内を巡るようになったらしい▲百貨店は娯楽施設でもあった。さらに大きく時代は移り、曲がり角に立つ地方の百貨店の「今」を先日の経済面で伝えていた。百貨店が“消滅”した県もあるらしい▲〈実用衣料や日用品の大半はより安く、より手軽になり(中略)消費傾向はモノ中心主義から経験中心主義に変わっている。変化する需要に応じていかねば〉…。半世紀以上も前の予見は今に通じる。
 (1970年代)半世紀ほど前は百貨店の力は強く、開店時間は10時から19時頃までであったろうか。休日もあり、木曜日当たりが休みのところが多かったか。店員も無闇に近づいてこなかったような記憶がある▲ところが徐々に百貨店の力が落ち、開店時間は広がり、店員サービスは向上した。そして、いまや、ビルの中はもう百貨店でなくなりつつある。