世界の人権状況がいっそう悪化した年に 231204

 きょうから10日までの人権週間を『日報抄(231204新潟日報)』は思う▼医師で作家の鎌田実さんは学生結婚、新婚旅行はいつか海外へという約束が果たされていなかった▼ちょうどチェルノブイリ行きを控えて、同伴を提案する▼エルミタージュ美術館ポーランドの古都も巡ろうと旅立つ。そしてアウシュビッツ強制収容所も訪れた▼アウシュビッツ訪問の計画は妻に話していなかった。妻はチェルノブイリアウシュビッツも「来てよかった。二度と起きないようにしないと」。「新婚旅行」は、人間の尊厳や人権について考える旅になった▼1948年12月10日、自由と平等を誓った世界人権宣言が国連で採択された。ことしは世界の人権状況がいっそう悪化▼まずは銃声のない暮らしを取り戻さなければ。
 (あの)アウシュビッツを体験したフランクルは、いまのイスラエル軍の行動をどう心理学的に分析するであろうか。自分たちの正義を押し通すその心は何だろう▼キッシンジャーは、正義よりも秩序を選らび、中国との国交正常化やベトナム戦争の休戦を選んだ。何より大事なのは人権だ。
*画像は、フランクル『夜と霧』より。