『メディチ家の相貌史』

メディチ家の相貌史』
 「先祖は眼光鋭く、次世代は目におごりが浮かび、退廃のはてに緩みゆく」と、「天声人語」(朝日/16/5/14)は、メディチ家300年の当主の肖像を見比べる。また、
メディチ家の没落は、そのままフィレンツェの衰退を意味した。金貸しからのしあがり、法王を出すほど栄えたが、浪費と醜聞の海に沈んだ。美術館を出るとき、近代日本の歩みを思った」と。そして「いまの日本はどんな顔つきをしているのだろう。」
 肖像画を残すのであるから、自分をよく見せたいと良い顔・姿勢であろうか。描く方は、如何にその人の要望を表現する努力が有ったろう。それでも、衰退期の人の現れ方は、やはり没落して行く風貌になってしまうのか。それとも、見ている我々の心がそう見ているのか。いずれにしても、人も国も生成発展没落で、そのサイクルを終えるのである。体力が衰えて行っても、心は活き活きとして、それが表情に現れるようにしたい。無表情にならないように気をつけたい。日本に住む者たちが、過去の遺産にしがみ付くことなく、常に活き活きとしていれば、日本の顔つきも良かろう。(JN)