『少女の消息を尋ねるその小さなポスターは、通勤で利用・・・・』

『少女の消息を尋ねるその小さなポスターは、通勤で利用する駅の改札口近くに長い間はられていた』
 「朝霞市で2年前から不明だった当時中学1年の女子生徒が、東京・東中野駅で警察官に保護された」。これについて「春秋」(日経/2016/3/29)は言う。「まいたビラは20万枚余といい、無事を祈る信念が結実した。凶徒は捕らえてみれば高偏差値の若者だった。心配なのは生徒の失われた時間である。心身とも育ち、青春を謳歌し、人生の進路選びにも重要な時期だったはずだ。周囲のサポートで、恐怖と無為に過ぎた日々を取り戻してほしい。」
 私の住むところは朝霞市の隣町であったため、この子のポスターを見ている。そして、無事を願っていた。本当に身近で現実味のある事件である。まずは、帰ってきて良かった。でも、それとともに怒りが込み上げてくる。弱き者を騙し連れ出し、檻の中に閉じ込めておき、自分は平気で学生生活を送っている。もし、思うとおりに事が運ばなかったら、殺人を起こすようなことがありえたのか。命は奪わなかったが、心と時間を奪ってしまった。無事に帰ってきたが、この少女の大事な多感な時期の2年間は、取り戻すことができない。(JN)