『#ご先祖さまが乗っている』

『#ご先祖さまが乗っている』<2022年9月2日(金)>
 盆過ぎのトンボに『南風録(220902南日本新聞)』は想う。国分平野の水田で、トンボの大群を。盆トンボ、精霊トンボとも呼ばれ、鹿児島では「おしょろさあ」の名で親しまれるウスバキトンボ。街中でもよく見るが、その生態は不思議だ。春に東南アジアから飛来し水田などに産卵。短期間に世代交代を繰り返し、秋にかけて北海道まで生息範囲を拡大する。ところが寒さに弱い。冬になると成虫は命尽き、幼虫も死滅してしまうのだ。それでも春になると日本にやって来る。子孫を残せないのに、なぜ壮大な旅をするのか。研究者の間でも謎は解明されていない。田んぼの害虫を食べてくれる益虫、実りの秋を迎えようとする時期に田畑を群舞する姿は、豊作を願う農家に好ましく映ったに違いない。子どもの頃、捕まえると祖母にしかられたことを思い出す。確か「ご先祖さまが乗っている」と言っていた。このトンボを守るための先人たちの知恵なのかもしれない。
 (我が)東京の北多摩でも、数少ないがトンボが飛んでいる。秋を感じる。その昔は、秋津と呼ばれる地域があるので、トンボの大群が押し寄せたのだろうか。どんな秋であったろうか。今では蒸し暑い秋だ。いつまでこのムシムシが続くのか。そして、台風がどれだけやって来るのか。実りの秋も、台風の被害に遭わぬように、トンボに祈る。
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