『#科学が幸せを奪う現実』<2022年4月7日(木)>
きょうのアトムの誕生日に『南風録(220407南日本新聞)』は科学を思う。「空をこえてラララ」、「鉄腕アトム」のテーマ曲。国産初のテレビアニメ、日本初のアニソンと言えよう。今年は雑誌連載が始まって７０年の節目。豊島区の「トキワ荘マンガミュージアム」では、特別企画展が１０日まで開かれている。当時、多くの人がブラウン管の前で科学技術の進歩した幸せな未来を思い描いたことだろう。アトムの名前は原子力にちなむ。愛くるしいキャラクターを前にしながら、正反対の顔が浮かんだ。国際世論を無視して隣国に攻め入り、原発をも戦場にしたロシア・クレムリンの主である。１カ月以上にわたり爆撃の恐怖にさらされているウクライナにも、老若男女が楽しく声を張り上げ、笑顔になれる歌があるだろう。エゴや欲によって科学が幸せを奪う現実。それを進歩とは言えない。
（私は）もう思い出せない。アトムが対する敵とはどんな悪人であったのか。世界征服に臨む者か。コソ泥か。頭の上に火が灯るランプか。アトムは平和的解決をすることができただろうか。思い出せないが、歌は歌えそうだ。「科学の子 みんなの友だち 鉄腕アトム」。なかなか、みんなの友だちになることは難しい。
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