『皮はパリッと香ばしく中身は柔らかいビゴさんのパン』

『皮はパリッと香ばしく中身は柔らかいビゴさんのパン』<2018年9月28日(金)>
 「パンの神様」が亡くなった。『筆洗』(180924)は、「パンの神様」、フィリップ・ビゴさんの生前を伝える。日本人は松本清張の『礼遇の資格』のフランスパン、硬いフランスパンをイメージしていたが、ビゴさんは「その壁を味で破ってみせた。皮はパリッと香ばしく中身は柔らかいビゴさんのパンはやがて評判となっていく。本物のフランスパンを日本に広めた恩人である。『パンは手のかかる子どもだ』と語っていた。イースト菌の増量や高温で発酵を急げば、大きく膨らみはするが、風味に乏しくなる。『ちゃんと時間をかけてゆっくり育てる』。おかげで日本のフランスパンのレベルは世界一といわれるほどまでに育った」。
 (JN) フランスパン、それは硬くなければならない。松本清張の『礼遇の資格』のパンである。ボールを軟式テニスのものにすれば野球のバットにできるぐらいのものと考えていた。ずっと、そう思っていたので、硬くないフランスパンは偽物だと思っていた。「何でここは柔らかいフランスパンしかないのだ」と平気で思っていた。「ワインに合うのはこの硬いフランスパンだ」と、他人には言わなかったが、固く信じていた。愚かであった。やわらかくて良いのだ。何と硬い頭であった。もっと、パンに夢を膨らませねばならない。「パンの神様」、フィリップ・ビゴさん、ごめんなさい。そして、安らかにお休みなさい。