スコットランド人はどちらの道を選ぶのか

(日経「春秋」2014/9/17付) パスポート、日本国なら漢字で3文字。英字でもJAPANの5文字で簡単だが、やたら小さな活字で長い国の名もある。代表は英国だろう。正式名称は「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」という。本来はスコットランドウェールズイングランドとは別の国である。古くはケルトの流れを継ぐスコットランド住民投票で独立の賛否を問う。俳優のショーン・コネリーさんは、祖国の独立を熱烈に願うスコットランド人である。英語に独特のなまりがあるが、決してイングランド風に直そうとはしなかった。そのため映画「007」では、コネリーさんの発音に合わせて脚本をつくり、役柄のジェームズ・ボンドの方をスコットランド系という設定にしたそうだ。イングランドからの独立、YesそれともNo、スコットランド人はどちらの道を選ぶのか。不安でもあり応援したくもある。戸惑いながら投票を見守る。
(JN) 私たちの集合体は家族から始まり、血縁関係でつながりが広がっている。そういう意味で、民族というつながりは、国家の基本であるのか、様々な政治的都合で引かれていた線に対して民族は常に引き直しを求めてくる。でも、何のために、誰のために、変えようとしているのであろうか。結局は、政権を握りたい一部の者のために行っているのであり、それぞれの大衆はそれに踊らされているだけなのではないか。私たちのアイデンティティは、民族国家の独立で実現できるのであろうか。長い歴史を背景にした地域の問題でもあるが、我々はいつまでのその土地に縛り付けられているのではなく、世界の中で様々な民族が交流する社会になって行くそこでの民族のアイデンティティを発揮すべきではないのか、ショーン・コネリーのように。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO77155350X10C14A9MM8000/